診療科目と料金表

免疫殺菌(次亜塩素酸水)による歯周病治療
歯周病の治療を動画でわかるようにしました。

まず、歯周病治療の概要を説明します。
歯周病は細菌感染で、下記の菌が病原性細菌叢を形成して発症します。
・Aggregatibacter actinomycetemcomitans)
・Prophyromonas gingivaris
・Tannerella forsythensis
・Treponema denticola
・Prevotella intermedia
・Fusobacterium nucleatum
・Campylobacter rectus
・Eikenella corrodens
・Actinomyces 属  等

図に示したように、歯周ポケットに細菌が入って炎症(歯周病)を起こしますので、このポケットの中を、如何に除菌できるかが治療の最大のポイントになります。

歯周病の治療が成功するには、次の3項目が適正に処置・管理されていることが必要で、 症状が重い程、厳重な管理が必要になります。
1、口腔内の細菌叢が安定していること
2、あるレベルの口腔清掃ができていること
3、それぞれの歯に合った咬合関係ができていること
1、口腔内の細菌叢が安定していること
(1) お口の中の細菌叢は、位相差顕微鏡(生きたままの細菌が見られます)で確認できます。
(2) 健康な細菌叢にするには、歯周ポケットの除菌が必要です。
(3) この場合の除菌は、バリオス(院内探検参照)で汚れを取り、次亜塩素酸水で歯周ポケットを洗浄(新しい液を流し続けると、約10秒で殺菌します)して、まず嫌気性菌の減少を狙い、好気性菌(身体に害を与えない菌)の多い本来の口腔内細菌叢に変えて、歯周病の炎症を抑えます。
勿論、更に次亜塩素酸水の使用、自分に合った歯磨き、生活習慣を見直しをして、それぞれの歯に適切な咬合力がかかるように咬合調整をして、より良い口腔の健康を目指します。

次亜塩素酸水の効果 ■歯周ポケットの除菌には、次亜塩素酸水が、抜群の効果を発揮します。 次亜塩素酸水は、人間の免疫細胞が持つ殺菌作用と同じ成分で同じ作用を持ち、 歯周病菌である嫌気性グラム陰性桿菌やスピロヘータ群を瞬時に溶解します。
この除菌を繰り返すと、健康な細菌叢に徐々に変化しゆきます。
■リンス剤として使用すると 10秒のリンスのあと、口臭の原因となるVSCが10分後には消失し(ガスクロマトグラフィーの オーラルクロマで確かめられます)、無臭のお口になります。

※次亜塩素酸水は、人の組織に対して為害作用はありませんので、皮膚に付着しても、 目に入っても、また、飲んでも組織を損傷することはありません。


次亜塩素酸水の効果の素晴らしさを位相差顕微鏡でとらえました
典型的な歯周病の細菌叢です。
次亜塩素酸水を10秒作用させました。ほとんど全ての菌が瞬時に溶解しています。

2、あるレベルの口腔清掃ができていること お口の健康を守る大切な手段です。
基本的な清掃方法を理解して、磨き残しのない歯磨きをすることが大切です。
※4mm以上の歯周ポケットがある場合は、その中まで歯ブラシは届きませんので、 継続的な次亜塩素酸水による除菌とPMTCそして咬合調整が年3~4回必要になります。

3、それぞれの歯に合った咬合関係ができていること 食事をする時の咬合力は、1本の歯に対して約60kgかかります。
健全な歯槽骨は、この咬合力を充分に受け止めることができますが、歯周症でダメージを受けた歯槽骨は、 この60kgの咬合力を受け止めることができません。
そして、その歯に咬合力がかかり続けると、歯槽骨は破骨細胞によりし次第に消失して、歯の動揺・咬合痛・歯肉腫脹 が起こるようになり、最終的には歯を失うことになります。
→その歯にかかる咬合力を調節して、歯槽骨の消失を防ぐ咬合調整は歯を守ります。

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歯周病の再発予防
長い時間をかけて、歯周病が改善し、気持ち良く咬むことができるようになりました。
でも日常生活には たくさんの歯周病再発の要素が含まれています。
再発すると、以前よりも早く歯槽骨を失い、歯を失うリスクは更に大きくなります。
また、歯周病治療が終わり、歯周組織が健康を取り戻しても、失った歯槽骨はなかなか元の高さには戻りませんので、そのことを考慮した口腔ケアが必要になります。
歯周病と全身疾患(糖尿病・肺炎・動脈硬化・心内膜炎・早産)の関係が明らかになりました。
歯周組織の健康は全身の健康に影響し・影響を受けます。

■歯磨きについて 歯磨きは、口腔ケアの基本です。
歯周病予防の歯磨きは、虫歯予防の歯磨きとは違います。
適切な力で、適切な場所を、少なくとも20回以上、磨き残しが無く磨けていることが基本になります。
【歯と歯肉の境の歯磨き】【歯と歯の間の歯間ブラシでの清掃】は、とてもデリケートな歯磨きになりますので、強すぎず・弱すぎず、磨く場所を良く理解して磨かないと、かえって歯肉が腫れることがありますので、必ずメンテナンスで正しく磨けているかをチェックする必要があります。

■咬むことについて 良く咬むことは、咀嚼、嚥下などの口腔機能を維持することで、まさに、生きる上でのQOLを保つ、とても大切なことです。
咬むことにより、咀嚼筋・口輪筋などの筋肉が働き、その周囲への血流量が増加し、組織の活性を高めます。
また、脳への血流量も増加しますので、咬むことで脳が活性化することは、良く知られていることです。
美容では、表情筋のトレーニングで、小顔をつくりますが、良く咬むことは、口唇の周囲のたるみを引き締め、すっきりしたラインにすることができます。
楽しい食事も、同様に表情筋を動かしますので、小顔になる効果があります。
テレビの健康番組で、良く取り上げられる【一口30回以上咬む】と言うことは、元気で若々しい長寿を楽しむ秘訣で、ダイエットにもなります。

■咬み合せの調整 歯周病で歯槽骨を失った歯は、咬合力を充分に受け止められないことがあり、負担過剰な咬合力は、歯を失う原因になります。
歯に適切な咬合力がかかっているかを、定期的にチェックをして、必要なら咬合調整・連結等をして、歯の喪失を防ぐことは大切です。
多くの方が早食いですが、早食いは、歯槽骨を破壊する横からの咬合力を歯に与えるため、歯を失う大きな原因になります。
【一口30回以上咬む】ことは、歯にやさしい縦軸方向の咬合力が多くかかりますので、歯槽骨を守る咬み方になります。

■タバコについて 喫煙による、ニコチン・タールは免疫機能を低下させます。そのため、歯周症の治りは悪く、治療をしていても次第に悪化することが少なくありません。

■身体の歪について 腰が痛い、肩がこる、足が痛いなどの症状がある方は、身体が歪んで、咬み合せが、ズレルことがあります。
その場合には、身体の歪をとる運動と顎の体操を行い、左右の筋肉のバランスをとり、場合によっては咬合調整をしてズレを補正します。

■身体の調子について 身体の調子が悪い場合には、正しい歯磨きをしていても、弱くなっている部位に、炎症が再発することがあります。
身体が悪いのに、口腔だけ健康ということはありません。
また、口腔機能の低下は、嚥下障害や誤嚥性肺炎などの大きな原因になります。

■歯周病と全身疾患 肺炎、糖尿病、動脈硬化、心内膜炎、早産、低体重児などに影響を与えます。
「歯周病が全身に及ぼす影響について」を参照して下さい。

位相差顕微鏡による動画での説明
①典型的な歯周病の病的細菌叢です(運動性桿菌は歯周病が進行していることを示しています。 右下にはプラークが、上の黒い細胞は赤血球、右上は免疫細胞が見えます。)
②健康なお口の細菌叢です(安定した細菌叢では、運動性の桿菌はいません。)

磨かないでいると、お口の細菌叢がどのように変化をすのるか、位相差顕微鏡で確かめました。
③私の口の細菌叢です。(健康な状態の細菌叢を示しています。正しい歯磨きができていることが基本です。)
④これは、起きてすぐに細菌叢を確かめたもので、細菌数は増加をしていますが、歯周病に見られる運動性桿菌は見られません。就寝中は唾液はほとんど出ません、また、約36度の温度でしかも湿度が充満している口腔内は、細菌にっとて最適な増殖の場所になります。磨き残しの部位の歯周病は進行してゆきます。
⑤3日磨かないでいるとどうなるだろうか?→運動性桿菌が出現してきました:炎症の始まりです
⑥7日磨かないでいると→歯周症の病的細菌叢になってきました、この次点で正しい歯磨きとPMTCを行えばすぐに③に戻ります

ある患者さんの細菌叢を分析しました。患者さんの上下左右の細菌叢を位相差顕微鏡で調べてみると、いろいろな歯磨きの癖がわかります。また、今どの位治癒しているのかを、位相差顕微鏡を使って確認することができます。
⑦これからの4枚の画像は、初診の患者さんのお口の、上下左右の奥歯の細菌叢を、調べたものです。

右上の奥歯の細菌叢です。→全体の細菌叢は健康な状態に近いものですが、運動性桿菌をわずかですが認めることができます。このことは、正しい歯磨きができていますが、磨く回数が足らないことがわかります。
⑧右下奥歯の細菌叢です。この患者さんは、右利きで、上下の奥歯はこれから述べる左奥歯よりも、正しい歯磨きをしています。ただし、右上と同じく、磨く回数が少ないので、1箇所10回以上の歯磨きを行えば、健康な細菌叢を維持することが出来ます。
⑨左上の奥歯の細菌叢です。典型的な病的細菌叢を示しています。左上は、【歯と歯の間】の歯磨きができていないか、奥歯まで歯ブラシが届かない時がある、と言うことが分かります。
⑩左下の奥歯の細菌叢です。運動性の桿菌と、らせん状の細菌が見られます。らせん状の細菌は『Treponema denticola』と言い、古いプラーク中に見られます。このことは、この歯まで歯ブラシが届いていないことが分かります。
⑪左上奥歯を、歯石除去・次亜塩素酸水(除菌)・PMTCをした後の細菌叢です。ほぼ細菌をゼロの状態にしています。→この後、次亜塩素酸水による除菌と正しい歯磨きそして必要に応じた咬合調整を繰り返すと、歯周病を克服することができます。

※PMTC: 歯科医院で、歯周ポケット内の細菌や歯石などの汚れを取り、傷ついた歯面を修復し、 歯面を滑沢にして、プラークの再付着を防止する、歯のクリーニングです。

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歯周病が全身に及ぼす影響について

1997年アメリカのノースキャロライナで、タフツ大学のドクターガルシアが歯周病の死亡率に与える影響について、「歯周病は殺人的である、フロスをせよ、さもなくば死だ」と講演をしました。
その後1999年に、ニューヨークタイムス誌が 「FLOSS OR DIE?」 と言うタイトルで、特集をして世界中にセンセーションを起しました。
その特集は、歯周病が単なる歯の病気と考えるのは危険で、全身の健康に影響を与える病気であることへの警告でした。
すなわち、糖尿病などの病気や喫煙などの生活環境が歯周病に悪影響を及ぼす原因になること、また、逆に重症の歯周病が心臓血管疾患や低体重児出産などの、全身疾患の原因になりえることを報道しました。
歯周病は、細菌感染で歯周組織に炎症が起きる疾患で、歯肉縁下の炎症部位で作られたケミカルメディ-ターが全身にちらばり、特定の部位で病気(糖尿病・肺炎・動脈硬化・早産・低体重児など)を誘発することがわかりました。
その後のリサーチで、歯周病が糖尿病・肺炎・動脈硬化・早産・低体重児などに影響することが明らかになりました。


歯周病と糖尿病との関係
歯周病のケミカルメディ-ターが、血流を介して膵臓に達して、β細胞やインシュリン受容体の傷害に関り、インシュリン抵抗性が低下して、正常なインシュリンの作用を阻害します。
同様に、インシュリン患者の歯肉溝内からの浸出液中にも、ケミカルメディ-ターが多く検出され、歯周病の治癒が阻害されています。
歯周病と肺炎との関係
高齢者に多い誤嚥性肺炎は、死亡率の高い重篤な感染症で、歯周病や咽頭部の口腔内細菌の誤嚥で発症します。
嚥下反射・咳反射の低下により、高齢者の70%に、睡眠中に肺や気管支への不顕性誤嚥が見られる報告があります。
予防は、口腔全体の清掃を徹底しておこない、口腔内の細菌を少なくしておくことです。
寝たきりの場合で、誤嚥性肺炎を防止するには、食べ物の工夫や食後は上体を起しておくことなどが必要です。
歯周病とインフルエンザとの関係
口腔内細菌が産生するノイラミニダーゼは、口腔粘膜を被覆しているノイラミン酸や粘膜の蛋白成分を破壊すると、上気道粘膜のクリプチトーク(ウイルスレセプター)が露出して、ウイルスの吸着・侵入を容易にさせることになります。
予防として、口腔内細菌を徹底的に除去して、その酵素の産生を抑えれば、ウイルス感染の抑えられることになります。
歯周病と動脈硬化との関係
アテローム型の動脈硬化には、遺伝型・動物性脂肪の過剰摂取などの影響の他に、歯周病原性細菌の内毒素は、TLRやCD14(内毒素結合性蛋白)と結合して血流中に入り、プロスタグランディンE2(PGE2)やトロンボキサンB2(TXB2)を産生し、その結果血管壁にコレステロールが沈着して、アテローム性動脈硬化症が起こります。
歯周病と心内膜炎との関係
歯周病菌は、歯周ポケット内の上皮を貫通して血流中に侵入し、弁膜障害がある場合に、その部位に付着・増殖をしてバイオフィルムを形成して、細菌性心内膜炎を起すことがあります。川崎病、リウマチ熱の経験者、弁膜障害者は、ハイリスクグループになります。
歯周病と早産との関係
未熟児を出産した母親の歯周局所には、内毒素を産生する歯周病菌が増加することが明らかになり、その内毒素は血流に入り、IL-1、ILー6などの炎症性サイトカインを介して、プロスタグランディンE2(PGE2)を産生して、子宮を収縮させることが起きて、未熟児出産の原因となります。
歯周病と骨粗鬆症との関係
骨粗鬆症は、老人性骨粗鬆症、閉経後骨粗鬆症及び若年性骨粗鬆症とに分類されます。
エストロゲン(卵巣ホルモン)は、卵巣、胎盤、精巣で生成され、二次性徴の促進のほか、骨の発育・成長を促進します。
閉経後のエストロゲン欠乏により、歯槽骨の骨密度が減少し、歯周ポケット内の、IL-1,IL-6、IL-8及びTNF-αなどのサイトカインが増加すると、プロスタグランディンE2(PGE2)を産生して炎症が起こり、歯周病が進むことになります。
歯性病巣感染
口腔や咽頭の慢性で限局性の原病巣が原因となって、遠隔の臓器に二次感染を起すことを言います。
二次感染には様々なものがあり、アレルギー、糸球体腎炎、リウマチ、亜急性心内膜炎、心筋炎、神経炎、皮膚炎、貧血等を引き起こすことがあります。
二次感染の機序の全貌は解明されていませんが、下記のことが考えられています。
  • 原病巣の細菌が菌血症となって拡散して感染症を起す。
  • 原病巣の細菌毒素が血流中に入り、遠隔の臓器に傷害を起す。
  • 原病巣の細菌や菌体成分が、産生された抗体と結びついて、Ⅲ型アレルギーをよる免疫病理学的な反応を起す。
このため、原病巣の除去が優先すべき治療となります。
歯周病治療の詳しい説明

歯周病は細菌感染で起こります。
原因菌は一種類ではなく下記の複数の菌が歯周病を起こすことが知られています。

  • Aggregatibacter actinomycetemcomitans)
  • Prophyromonas gingivaris
  • Tannerella forsythensis
  • Treponema denticola
  • Prevotella intermedia
  • Fusobacterium nucleatum
  • Campylobacter rectus
  • Eikenella corrodens
  • Actinomyces 属  等

歯周病はこれ等の菌が、歯と歯肉の間(歯周ポケット)に入り、歯槽骨を破壊して歯肉が腫れたり、歯が動くようになって、最終的には歯が抜けてしまう生活習慣病の要素が強い疾患です。

歯周病の初期

プラーク除去と歯石除去が治療のポイントです。正しい歯磨き(歯ブラシの毛先を当てる場所と角度、持ち方、順序、強さ、回数など磨き癖の修正)をすることが大切です。また、PMTC(プロフェッショナルな歯面清掃によるバイオフィルムの除去)も行います。

歯周病が進むと

初期の治療の他に、歯周ポケット内の継続的な除菌が必要になります。継続的な歯周ポケット内の除菌で、歯周病を起こしやすい嫌気性菌の多い細菌叢を、歯周病を起こさない安全な好気性菌の多い細菌叢に変える必要があります。この細菌叢の変化は、位相差顕微鏡で判定できます。ここで、次亜塩素酸水が有効な除菌効果を発揮します。次亜塩素酸水は、人が持つ免疫と同じ殺菌剤(好中球の持つ殺菌能力)で歯周ポケット内の細菌を除菌する、生体に優しい歯周病治療です。

この他に、横からの咬合力(顎は前後左右に動きます)は、歯を揺さぶって歯周組織を破壊しますので歯周病で歯槽骨にダメージが多かった歯に対しては、横からの咬合力が加わらないようにな咬合調整が必要になります。また、咬合する面積も縮小することもあります。歯にかかる垂直の咬合力に対しては、歯根膜のシャーピー繊維は、歯をハンモックのように吊り下げていて、垂直の力には最も効果的な抵抗ができるようになっています。

更に歯周病が進むと

上記の治療の他に、咬合力に負けないように、歯を連結することが必要になります。1本の歯にかかる咬合力は60kgになります。歯周病でダメージを受けるのは歯槽骨です。日本人の平均的な歯根の長さは約 12mmで、5mm以上歯槽骨が歯周病で無くなると、1本だけで咬合力に対して、充分な抵抗(咬むと痛くなったり、歯肉が腫れたり)をすることが難しくなります。咬合調整や隣の歯と連結して、歯の保存を図ります。また、歯に横からの揺さぶる咬合力がかからない、1口50回と言う食べ方をして頂くことになります。この1口50回と言う咬み方は、古来から健康の元と言われているものです。更に、硬いものは調理を工夫して頂くか、避けてもらうことになります。自分で行う歯磨きには、歯間ブラシも併用して頂き、食後毎回必ず使用して歯と歯の間の除菌をして頂くことになります。次亜塩素酸水は、必需品となります。


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